今回は、S&P500の上昇率に着目し、過去の傾向、メリット・デメリット、投資すべきか否かの観点について解説しています。
S&P500の上昇率も参考にした上で、S&P500への連動を目指す投資信託の購入要否を判断できていますよ。
記事の前半ではS&P500の上昇率から読み取れることと上昇率の過去傾向を、後半ではメリット・デメリットや投資時の判断観点を具体的に解説します。
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この記事を読み終えることで、S&P500の上昇率や年間平均上昇率が分かるだけではなく、メリット・デメリットや投資要否の判断観点も理解できた状態になりますよ。
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S&P500の上昇率から分かること2つ
評価時点の金額に対する評価前の金額の値上がり率を上昇率と呼びます。
何故、S&P500に投資する際に上昇率が重要になるのでしょうか？
ここでは、S&P500の上昇率から分かること2つを紹介します。
S&P500の上昇率を知るべき理由2つ
順に解説しますね。
S&P500インデックスの傾向が分かる
上昇率の情報を用いることで、S&P500インデックスの傾向が分かるようになります。
なぜなら、上昇率の数値によって、S&P500インデックスの成長状態が判断ができるためです。
例えば、S&P500の1980年1月～1989年12月の10年間における各月の上昇率は、以下に示す通りです。
この結果から、1982年～1986年にS&P500インデックスが成長し、その後暴落が起きていることが分かります。
このように、上昇率を調べることで、その時々の傾向を知ることができます。
上昇率がプラスになっているものが多いことから、長期的にS&P500インデックスが成長していることも分かりますね。
最終的な成長率が分かる
また、一定期間の上昇率を用いることで、最終的な成長率も求めることができます。
これは、上昇率の累積値が累積リターンと等しくなるためです。
今度は、1990年1月～2014年12月の25年間における各月の上昇率を見てみましょう。
上記において、1989年12月を1としたとき2014年12月は約9.93となるため、およそ10倍に成長していることが分かります。
S&P500の実測値を用いて成長率を計算すると10.16となり、概ね正しいことも分かりますよ！
このように、インデックスの傾向や成長率を知る上で、上昇率は重要な指標になります。
1957年～2024年までのS&P500の上昇率
では、S&P500の指標が定義された1957年以降の株価データを用いて、詳細に分析してみましょう。
ここでは、まず最初に、以下の2点についてまとめました。
1957年～2024年までのデータに関する詳細分析結果2つ
また、上昇率の計算にはONLINE DATA ROBERT SHILLERで公開されているデータのうち、1957年1月～2024年12月までの68年分（816ヶ月分）のデータを用いました。
年間平均上昇率は約10%
計算の結果、累積上昇率は905.11%、年間平均上昇率は10.53%となりました。
累積上昇率の具体的な推移と年間平均上昇率に基づく推移は、以下に示す通りです。
累積上昇率が右肩上がりであることから、長期的にみるとS&P500インデックスは成長していることが分かりますね。
年間上昇率の最小値と最大値
また、年間上昇率のグラフは、以下のようになりました。
この結果に基づくと、今回の期間における最小値と最大値は以下のようになります。
| 対象 | 該当時期 | 値 |
|---|---|---|
| 最小値 | 2008年 | -39.23% |
| 最大値 | 1995年 | 38.42% |
S&P500インデックスの上昇率の概要は概ね分かったと思います。
以降では、投資期間に着目し、さらに深掘りしていきましょう。
投資期間ごとのS&P500の上昇率詳細2つ
今度は、実際に一定期間投資した際の期待上昇率を計算してみました。
ここでは、上昇率の振れ幅と平均上昇率に着目して掘り下げていきます。
投資期間ごとのS&P500の上昇率詳細2つ
1957年～2024年までの上昇率の振れ幅
まず、1957年～2024年までの上昇率の振れ幅についてです。
計算結果を可視化すると、以下のようになりました。
今回の対象期間における振れ幅から、10年以上投資を続けると上昇率がプラスになることが分かりますね。
これは、長期間投資を続けることで、損失が発生する可能性が低くなることを意味します。
集計期間によって結果は変わるため、参考情報として扱ってください。
累積上昇率と年間平均上昇率
次に、投資期間ごとの累積上昇率と年間平均上昇率を調べました。
それぞれの具体的な値は、以下に示す通りです。
| 期間 | 累積上昇率 | 年間平均上昇率 |
|---|---|---|
| 1年間 | 11.86% | 11.86% |
| 3年間 | 37.70% | 10.67% |
| 5年間 | 67.97% | 10.36% |
| 10年間 | 176.11% | 10.26% |
| 15年間 | 313.15% | 9.53% |
| 20年間 | 578.25% | 8.93% |
累積上昇率を計算する時に不足したデータは、ゼロ埋めした上で計算しています。
この結果から、年間平均上昇率は9%～11%程度であることが分かりますね。
上昇率から分かるS&P500に投資するメリット2つ
以降では、ここまでの情報を踏まえて、S&P500に投資するメリット・デメリットを整理したいと思います。
まず、上昇率を踏まえてS&P500に投資するメリットについて解説します。
上昇率から分かるS&P500に投資するメリット2つ
上昇率がプラスになるケースが多い
1957年以降の年間上昇率のうち、上昇率がプラスになるケースとマイナスになるケースを数えると、以下のようになりました。
| パターン | 該当数 |
|---|---|
| 上昇率がプラスになるケース | 51件 |
| 上昇率がマイナスになるケース | 17件 |
以上の結果から、これまでのS&P500インデックスの年間上昇率は、プラスになるケースが多いことが分かりました。
今後も同様の傾向が続くと仮定すると、早い段階からS&P500に投資をしておくことで多くのリターンが得られる可能性が高くなると考えられます。
あくまで予想であり、将来の投資結果が確定する訳ではありません。
投資期間が10年以上であればプラスリターンになる
投資期間ごとの上昇率の振れ幅から、投資期間を10年間以上確保できれば、投資結果がプラスになります。
これは、1957年～2024年までの上昇率の振れ幅のグラフから明らかです。
物価上昇率を多めに見積もって3%程度としても、プラスリターンになりますね。
さらに、当サイトにて同様のシミュレーションが行えるツールも作成しているので、ぜひ使ってみてください。
上昇率から分かるS&P500に投資するデメリット1つ
次に、上昇率から分かるS&P500に投資するデメリットについて解説します。
上昇率から分かるS&P500に投資するデメリット1つ
米国企業の経済動向に大きく依存する
S&P500インデックスは米国の主要企業約500社に基づいて導出されるため、米国企業の経済動向に大きく依存します。
このため、米国企業の業績悪化や経済情勢が不安定になった場合、上昇率がマイナスになる可能性があるでしょう。
例えば、2000年代のITバブル崩壊やリーマンショックなどでは、S&P500インデックスの上昇率がマイナスになっていますね。
このように、S&P500に投資した際は、米国企業の経済動向に大きく依存することを覚えておいて下さい。
S&P500インデックスの特性の一つとも言えます。
S&P500に投資すべき？判断する際の観点2つ
ここまでの上昇率に関する整理結果を踏まえ、S&P500に投資すべきか否かを判断する際の観点を紹介します。
S&P500に投資すべき？判断する際の観点2つ
順に解説しますね。
米国の経済成長への期待度合い
まず、米国の経済成長に期待するかどうかが重要です。
なぜなら、S&P500関連企業が今後も成長するかどうかに基づいて、投資要否を判断する必要があるためです。
例えば、2024年12月31日時点の主要企業上位10社は以下のようになっています。
| 項番 | 銘柄名 |
|---|---|
| 1 | Apple Inc. |
| 2 | Nvidia Corp |
| 3 | Microsoft Corp |
| 4 | Amazon.com Inc |
| 5 | Meta Platforms, Inc. Class A |
| 6 | Tesla, Inc |
| 7 | Alphabet Inc A |
| 8 | Broadcom Inc |
| 9 | Alphabet Inc C |
| 10 | Berkshire Hathaway B |
これらの企業が今後も成長していくと期待するかどうかが、観点の一つとなります。
今後も成長が期待できる場合はS&P500に投資しても良いですが、そうでなければ投資先を再検討した方が良いでしょう。
世界経済の動向変化への追従度合い
さらに、世界経済の動向変化をどの程度重要視するかも、判断時の観点になるでしょう。
なぜなら、様々な国や地域の経済の恩恵を受けたいであれば、米国のみのS&P500以外に投資した方が良いためです。
例えば、MSCI ACWI（オールカントリーワールド指数）であれば、幅広い国や地域に分散投資できます。
また、2024年10月31日時点の上位10銘柄は以下のようになっています。
| 項番 | 銘柄名 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 | アップル | 4.54% |
| 2 | エヌビディア | 4.27% |
| 3 | マイクロソフト | 3.76% |
| 4 | アマゾン・ドット・コム | 2.47% |
| 5 | メタ・プラットフォームズA | 1.58% |
| 6 | テスラ | 1.25% |
| 7 | アルファベットA | 1.25% |
| 8 | アルファベットC | 1.08% |
| 9 | タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング | 0.95% |
| 10 | ブロードコム | 0.91% |
このように、世界経済の動向変化を重視する場合、S&P500以外の投資先を検討した方が良いです。
S&P500を選ぶべきか、S&P500以外を選ぶべきか悩んでいる方は、以下の記事も参考にしてください。
S&P500の上昇率に関するよくある質問3つ
最後に、S&P500の上昇率に関するよくある質問について回答します。
投資期間ごとの上昇率の分布に違いはあるの？
投資期間が短いほど上昇率の振れ幅が大きく、長いほど上昇率の振れ幅が小さくなります。
投資期間を1年間、3年間、5年間、10年間、15年間、20年間と変化させた場合のシミュレーション結果からも、この傾向を確認できますよ。
【再掲】1957年～2024年までの上昇率の振れ幅（当サイトにて作成） また、10年以上投資を続けると、年間の平均上昇率がプラスになる、という結果もでています。
あくまで過去の傾向となるため、将来の成果を保証する訳ではないです。
にむなぜ長期投資が良いの？
投資時に気を付けることはあるの？
S&P500に投資する際に気を付けることとして、どのような時も株式市場に居続けることが挙げられます。
なぜなら、長期投資において成績の良い日を数日逃すだけでリターンが激減することが分かってるためです。
実例として、J.P.モルガン（アメリカの大手金融機関）による2002年から2021年までの投資に関する調査結果を紹介したいと思います。
投資を継続することの重要性（出典：J.P.モルガン） この調査結果は、成績が良い日を20日間逃しただけで、リターンが9.52%から2.63%に激減したことを示しています。
経済成長の恩恵を受けるためにも、淡々と積立投資を長期的に行うことが大切です。
S&P500の上昇率に関する特徴を理解した上で、投資を始めよう！
今回は、以下の内容について解説しました。
今回の内容
今回の記事の特徴をまとめると、以下のようになります。
【再掲】S&P500の上昇率から分かることとメリット・デメリット
S&P500の上昇率から分かること
- S&P500インデックスの傾向が分かる
- 最終的な成長率が分かる
上昇率から分かるS&P500に投資するメリット2つ
- 上昇率がプラスになるケースが多い
- 投資期間が10年以上であればプラスリターンになる
上昇率から分かるS&P500に投資するデメリット1つ
- 米国企業の経済動向に大きく依存する
今後も、S&P500インデックスが成長を続けていくか定かではないですが、長期的にみて世界経済は成長しています。
この恩恵を受けるためにも、ご自身にあった方法で投資を始めていくことをおすすめします。
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