今回は、オール・カントリー(オルカン)とS&P500に連動する投資信託に対し、それぞれを組み合わせる必要性と判断観点について解説します。
私も今回の記事の考え方を参考に、自分で投資方針を決めることができています。


記事の前半ではオルカンとS&P500を組み合わせることのメリットとデメリットを、後半ではオルカンとS&P500を組み合わせる際のコツと判断観点を具体的に解説します。

この記事を書いた人
- 『NISAの達人』の管理人
- 会社員&ブロガー
- 新NISA(選び方、買い方、運用方法、ノウハウ)について発信
- 2025年2月時点で、NISAで含み益約77万円を達成中!


この記事を読み終えることで、オルカンとS&P500を組み合わせることのメリットとデメリットを理解できるだけではなく、組み合わせる際のコツや判断観点についても学ぶことができます。
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オルカンとS&P500それぞれの特徴
新NISAで積み立て投資ができる投資信託として、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)があります。
ここでは、オルカンとS&P500のそれぞれの特徴について解説します。
オルカン
オルカンは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略で、新NISAで積立投資できる代表的な投資信託です。
以下に示す通り、この投資信託だけで世界中の国や地域に投資できます。

全体の60%は米国に投資している点も特徴の一つです。

また、構成銘柄の上位10件の内訳は、以下のようになっています。
順位 | オルカン | S&P500 |
---|---|---|
1位 | MICROSOFT CORP | Microsoft Corp |
2位 | APPLE | Nvidia Corp |
3位 | NVIDIA | Apple Inc. |
4位 | AMAZON.COM | Amazon.com Inc |
5位 | META PLATFORMS A | Meta Platforms, Inc. Class A |
6位 | ALPHABET A | Alphabet Inc A |
7位 | ALPHABET C | Alphabet Inc C |
8位 | TAIWAN SEMICONDUCTOR MFG | Berkshire Hathaway B |
9位 | LILLY (ELI) & COMPANY | Eli Lilly & Co |
10位 | BROADCOM | Broadcom Inc |
このように、オルカンは、様々な国や地域の株式がパッケージとしてまとめられた金融商品となります。
さらに、直近のオルカンの年率リターンと年率リスクは、以下に示す通りです。(2025年2月時点)
投資期間 | 年率リターン | 年率リスク |
---|---|---|
1年間 | 20.82% | 14.61% |
3年間 | 18.08% | 16.70% |
5年間 | 17.74% | 20.17% |
直近5年間では、年間2割弱程度のリターンが得られている計算になりますね。

S&P500
S&P500は、米国内で上場している約500銘柄をもとに算出された、米国の代表的な株価指数の1つです。
S&P500への投資は、米国への一括投資と同じ意味合いを持ちますよ!

S&P500のセクター別の内訳は以下のようになっており、ヘルスケアや生活必需品など、不景気時も一定の需要が見込まれる銘柄も含まれています。

S&P500に採用される企業は、厳格な選定基準をクリアした企業であり、2024年7月時点におけるS&P500の上位10銘柄は以下の通りです。
順位 | S&P500 |
---|---|
1位 | Microsoft Corp |
2位 | Nvidia Corp |
3位 | Apple Inc. |
4位 | Amazon.com Inc |
5位 | Meta Platforms, Inc. Class A |
6位 | Alphabet Inc A |
7位 | Alphabet Inc C |
8位 | Berkshire Hathaway B |
9位 | Eli Lilly & Co |
10位 | Broadcom Inc |
また、定期的に銘柄の入れ替えが行われているため、業績が悪化した企業を排除する仕組みも備わっています。
米国の有名なIT企業が上位に来ていることが分かりますね。

さらに、S&P500インデックスに連動する代表的な投資信託として、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」があります。
この投資信託において、直近の年率リターンと年率リスクは、以下に示す通りです。(2025年2月時点)
投資期間 | 年率リターン | 年率リスク |
---|---|---|
1年間 | 24.53% | 16.03% |
3年間 | 21.70% | 18.27% |
5年間 | 21.47% | 21.17% |
直近5年間では、こちらの投資信託の方が、オルカンよりもリターンが高いですね。

オルカンとS&P500を組み合わせるメリット3つ
続いて、オルカンとS&P500を組み合わせるメリット・デメリットについて解説します。
まずは、組み合わせることによるメリットについてです。
オルカンとS&P500を組み合わせるメリット3つ
S&P500だけに投資した場合を比較対象とします。

米国以外の国や地域に分散投資できる
S&P500だけに投資した場合よりも、組み合わせて投資することで、分散効果が高まります。
なぜなら、オルカンに投資するだけで世界中の国や地域に投資できるためです。
オルカンとS&P500それぞれの代表的な投資先内訳は以下のようになります。
項番 | 国や地域 | オルカン | S&P500 |
---|---|---|---|
1 | 米国 | 64.7% | 100.0% |
2 | 日本 | 5.1% | 0.0% |
3 | イギリス | 3.34% | 0.0% |
4 | カナダ | 2.63% | 0.0% |
5 | 中国 | 2.57% | 0.0% |
6 | その他の国や地域 | 21.66% | 0.0% |
さらに、オルカンに投資することで、米国以外の国や地域の経済成長の恩恵も享受できます。
オルカンだけでも良いと思いますが、組み合わせることの利点は他にもありますよ。

投資信託だけで米国株の比率を調整できる
オルカンとS&P500を組み合わせることで、米国株の比率を調整することもできます。
これは、それぞれの投資信託を購入する際の割合を調整することで実現できます。
今回の方法では、オルカンの構成割合(約60%)より少なくできない点には注意が必要です。

例えば、オルカンにおける米国株の構成割合が64.7%、オルカンとS&P500を70%と30%ずつ組み合わせて購入した場合、全体の米国株の比率は約75%になります。

また、今回紹介したツールは以下のサイトで公開しているので、是非、利用してみてください。
上記のツールでは、ひと月の投資金額を指定することで、それぞれの投資信託の購入金額も見える化できます。

投資目的に合わせた運用ができる
2つの投資信託の年率リターンに違いがあることを利用して、投資目的(老後資金や教育費用など)にあわせた運用も可能です。
具体的には、以下のように役割分担するイメージとなります。
投資目的に合わせた運用例2パターン
- 教育費用など、15年後位に使う資金
S&P500に投資して、高いリターンを狙って運用する。 - 老後の年金用など、30年以上後で使う資金
オルカンに投資して、安定したリターンを狙って運用する。
また、過去実績に基づくと、オルカンとS&P500の年率平均リターン(年率平均利回り)は、以下のようになります。


上記の結果から、15以上投資した際のリターンはS&P500の方が高いため、投資目的にあわせた運用も可能でしょう。
あくまで過去実績であり、今後の投資成績を保証するものではありません。

オルカンとS&P500を組み合わせるデメリット2つ
続いて、オルカンとS&P500を組み合わせることのデメリットについて解説します。
オルカンとS&P500を組み合わせるデメリット2つ
メリットと同様に、S&P500だけに投資した場合を比較対象とします。

新興国や低成長の国も投資対象になる
オルカンだけを活用することで、様々な国や地域に投資できます。
一方、オルカンには新興国や成長率が低い国も少なからず含まれており、資産成長を鈍化させる可能性もあるでしょう。

しかしながら、以下の2つの理由から、目に見えるほどの影響が現れることはないと考えます。
目に見えるほどの影響が現れない理由2つ
- 新興国や成長率が低い国は全体の1割程度であり、インパクトは小さいため。
- 目に見えるほどの影響がある場合、大多数を占める米国株式なども資産価値が下がる可能性が高いため。
適宜、銘柄の組み換えも行われるため、資産価値が下がり続ける可能性は低いですよ。

トータルリターンが低くなる可能性がある
冒頭で説明したように、S&P500の方がオルカンよりもリターンが高いです。
投資期間 | オルカンの年率リターン | S&P500の年率リターン |
---|---|---|
1年間 | 20.82% | 24.53% |
3年間 | 18.08% | 21.70% |
5年間 | 17.74% | 21.47% |
このため、年率リターンが低いオルカンを組み合わせると、S&P500だけの場合と比較してトータルリターンが低くなる可能性があります。
トータルリターンが低くなる一方でリスクも低くなるため、S&P500ほどリスクを取りたくない人は選択肢の一つになるでしょう。
困ったら両方買う!という選択肢もあるため、構えすぎる必要はないです。

オルカンとS&P500を組み合わせる際のコツ3つ
オルカンとS&P500を組み合わることによるメリット・デメリットを踏まえ、それぞれを組み合わせる際のコツも紹介します。
オルカンとS&P500を組み合わせる際のコツ3つ
順に解説しますね。
米国の構成比率を基準に組み合わせ方を考える
オルカンとS&P500を組み合わせるメリットの一つに、米国株に投資する割合の調整がありました。
このため、ご自身のリスク許容度を踏まえた上で、どの位の割合で組み合わせれば良いかを決めておくのが良いでしょう。
オルカンに占める米国株の割合を66.40%とした時において、米国株の割合を70%、80%、90%とする場合の組み合わせ例は、以下に示す通りです。
米国株の割合 | オルカンの割合と投資額 | S&P500の割合と投資額 | 合計投資額 |
---|---|---|---|
70% | 89.286%(8,929円) | 10.714%(1,071円) | 10,000円 |
80% | 59.524%(5,952円) | 40.476%(4,048円) | 10,000円 |
90% | 29.762%(2,976円) | 70.238%(7,024円) | 10,000円 |
それぞれの投資金額もあわせて記載しました。

実際に手を動かして計算したい方は、以下の記事も参考にしてください。
投資期間を確保する
オルカンとS&P500を組み合わせる場合に限らないですが、投資期間は可能な限り長く確保することをおすすめします。
なぜなら、オルカンもS&P500も15年間以上投資を続けることで、トータルリターンがプラスになるという過去実績があるためです。


もし、どちらに投資しようか迷っている方が居たら、オルカンとS&P500を半々で投資すると決めて投資を始めると良いと思います。
投資対象の選択に悩むのであれば、取り敢えず両方投資する、というスタンスです。

積み立て投資を活用する
効率良く投資で資産を増やすためには、まとまった元手を用意して一括投資をすることになります。
一方、私を含めて多くの方が、投資のために大金を用意するのは困難だと思います。
そこで、投資を行う際は、新NISAと積み立て投資を活用しましょう!

積み立て投資の活用により、以下の3つのメリットを享受できるため、初心者でも投資を始めやすいです。
積み立て投資の活用によるメリット3つ
- 少額から投資を始められる。
- ドルコスト平均法により、投資信託の購入単価を平準化できる。
- 新NISAを活用することで、運用益(売却益・配当/分配金)が非課税になる。
因みに、一括投資と積み立て投資の場合、暴落が発生しても長期的に投資を続けるのであれば、一括投資の方がリターンが大きくなる傾向があります。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
過去実績に基づく傾向のため、今後の投資結果を保証する訳ではありません。

投資方針を決める際の判断観点2つ
ここまでの話をまとめつつ、投資方針を判断する際の観点も紹介したいと思います。
投資方針を決める際の判断観点2つ
資金が必要になるタイミング
まず、資金が必要になるタイミングを整理しましょう。
資金が必要になるタイミング3パターン
- 10年以内に使うお金
こちらは、現金で用意しておくことをおすすめします。 - 10年後~20年後に必要になるお金
一部を現金で確保しつつ、オルカンとS&P500を組み合わせて運用しながら増やすことをおすすめします。 - 20年以上経ってから必要になるお金
投資先も踏まえて、オルカンメインまたはS&P500メインで運用しながら増やすことをおすすめします。
余剰資金で投資を行うことを大前提としています。

上記のように整理した理由は、以下に示す通りです。
観点 | 考え方 |
---|---|
10年以内に使うお金 | 投資だけではマイナスリターンになる可能性が高いため、現金でカバーする。 |
10年後~20年後に必要になるお金 | 投資でマイナスが生じる可能性がある分を現金で確保しつつ、投資で増やすことを試みる。 |
20年以上経ってから必要になるお金 | 投資により将来的にプラスリターンになる可能性が高いため、積極的に投資で増やすことを試みる。 |
例えば、オルカンとS&P500それぞれに毎月25,000円ずつ10年間積み立て投資するケースを考えてみます。
過去実績に基づくと、シミュレーション時の条件は、以下のようになります。
項目 | オルカン | S&P500 |
---|---|---|
毎月の投資金額 | 25,000円 | 25,000円 |
最悪ケースの年率リターン | 0.23% | -1.38% |
平均ケースの年率リターン | 6.89% | 8.34% |
投資期間 | 120ヶ月 | 120ヶ月 |
上記の条件で積み立て投資した結果は、以下に示す通りです。
パターン | オルカンへの投資結果 | S&P500への投資結果 | 総額 |
---|---|---|---|
貯金のみ | 3,000,000円 | 3,000,000円 | 6,000,000円 |
最悪ケース | 3,450,329円(+450,329円) | 1,469,724円(-1,530,276円) | -1,079,946円 |
平均ケース | 1,080,171,506円(+1,077,171,506円) | 4,490,776,299円(+4,487,776,299円) | +5,564,947,805円 |
過去実績に基づくと、10年間で現金を110万円程用意しておけばリスクを抑えつつ、投資で資産を増やせる可能性がありますね。
毎月1万円ずつ現金を積み立てていけば、良い計算になりますね。

米国経済への期待度合い
次に、S&P500に投資する以上、米国経済への期待度合いも重要な観点になります。
なぜなら、米国経済の今後の動向が投資結果に直結するためです。
例えば、下記の観点を踏まえると、今後も米国経済は成長していくと想定されます。
経済成長につながる要素3つ
- 株主還元を重視する傾向
- 世界をリードする巨大企業の存在
- 長期的な人口増加
詳細は以下の記事でまとめているため、あわせてご覧ください。
上記に納得できる場合、S&P500の割合を多めにするのが良いです。
一方、上記に懸念点がある場合、オルカンの割合を増やして投資することをおすすめします。
ご自身のリスク許容度も踏まえて、投資比率を決めるようにしましょう。

【公開】2025年2月時点の私の運用実績
最後に、私の投資実績を紹介したいと思います。
因みに、2025年2月時点で、新NISAは積み立てを1年2ヶ月継続しています。

2025年2月時点の私の積立条件は、以下に示す通りです。
項目 | 積み立て金額 | 投資比率 |
---|---|---|
オルカン | 35,000円 | 74.47% |
S&P500 | 12,000円 | 25.53% |
上記の条件で積み立て投資を続け、2025年2月時点での新NISAの投資結果は、以下のようになりました。

合計77,916円増えていることが分かりますね。

因みに、旧NISA分も含めると以下のようになり、合計817,258円の含み益が出ている状態です。


世界の動向が多少変動したとしても、同じスタイルで積み立て投資を続けていくつもりです。

メリットとデメリットを理解した上で積み立て投資をしよう!
今回は、以下の内容について解説しました。
今回の内容
オルカンとS&P500を組み合わせること自体に異論はないですが、ご自身のリスク許容度の範囲内で投資比率を調整しながら取り組むことをおすすめします。
また、私の投資実績も一例として紹介したので、参考にしてみてください。

これから資産運用を始める方
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