この記事で解決できる悩み
今回は、投資信託の手数料と比較観点について解説しています。
実際にオルカンとS&P500に投資して、含み益が出ていることを確認できています。
記事の前半では投資信託の基本的な仕組みと投資信託にかかる手数料の種類を、後半では投資信託の選定基準と私の投資状況(2024年11月時点)を具体的に解説します。
この記事を書いた人
- 『NISAの達人』の管理人
- 会社員&ブロガー
- 新NISA(選び方、買い方、運用方法)について発信
この記事を読み終えることで、投資信託にかかる手数料の種類について理解できるだけではなく、オルカンとS&P500に連動する投資信託を選ぶ際の選定基準も知ることができます。
これから資産運用を始める方
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オールカントリー(オルカン)とは?
オールカントリー(オルカン)とは、三菱UFJアセットマネジメント株式会社が運用する投資信託「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」のことです。
三菱UFJアセットマネジメント株式会社は、「オルカン」を商標登録しています。
この投資信託の特徴として、次の3点が挙げられます。
オルカンの特徴3つ
- MSCI ACWIに連動する投資成果を目指すインデックス型の投資信託である
- 投資対象は、日本を含む先進国と新興国の株式である
- 分配金を再投資する投資信託である
MSCI ACWI(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)は、全世界株指数のことを指します。
また、オルカンの投資先は以下に示す通りで、様々な国や地域に分散投資できます。
オルカンの詳細は、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
S&P500とは?
S&P500は、S&P500 Dow Jones Indices LLCによって算出される、米国の代表的な株価指数(インデックス)です。
S&P500の特徴として、以下の3点が挙げられます。
S&P500の特徴3つ
- 米国株式市場全体の約80%を占めているため、市場動向を把握する上で重要なインデックスである
- 米国で上場している代表的な約500銘柄の時価総額をもとに算出される
- 時価総額が一定以上であることや連続4四半期で利益が黒字であることなど、厳格な採用基準がある
S&P500への連動を目指す代表的な投資信託として「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」があります。
また、1995年から2024年7月までの30年間において、株価が右肩上がりで推移していることから、中長期的に成長していることが読み取れますね。
S&P500の詳細は、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
投資信託の基本的な仕組み
投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家が運用することで成り立つ金融商品です。
具体的には、販売会社、信託銀行、運用会社の3つがそれぞれ以下の役割を果たします。
投資信託における各機関の役割
- 販売会社
投資家の窓口となり、証券口座管理や商品の販売を行う。 - 運用会社
投資家から集めた資金の運用方針を決め、信託銀行に指図する。 - 信託銀行
運用会社の指図を受けて、株や債券などを売買する。また、投資家から集めた資金を他の資産と分けて管理し、利用者の資産を保護する。
運用にはコストがかかるため、投資家はその手数料を負担します。
このような仕組みになっているため、投資家は専門知識なしで資産運用を行うことができます。
投資信託にかかる手数料の種類3つ
投資信託には、購入時、運用中、解約時に手数料が発生します。
以降では、それぞれの手数料の詳細について解説します。
投資信託にかかる手数料の種類3つ
購入時にかかる手数料
購入時にかかる手数料は販売手数料とも呼ばれ、投資信託購入時に発生する1回限りの費用です。
この手数料は、購入金額に対する一定の割合で設定されますが、販売会社(証券会社、銀行、郵便局など)や投資信託の種類(オルカンやS&P500など)により異なります。
また、楽天証券などのネット証券は、銀行などの対面窓口よりも低い傾向があります。
具体的にイメージするため、23年度上期のデータを用いて、投資信託を1万円分購入する場合の販売手数料を計算してみましょう!
計算結果は以下のようになります。
購入先 | 販売手数料率 | 販売手数料 |
---|---|---|
ネット系証券 | 0.06% | 6円 |
主要行等 | 1.0% | 100円 |
地方銀行 | 1.5% | 150円 |
大手証券 | 2.2% | 220円 |
ネット系証券で購入するのが、一番おトクですね!
さらに、新NISAのつみたて投資枠であれば、販売手数料がかかりません。
このため、これから投資を始める場合は新NISAを活用することをおすすめします。
【用語解説】ノーロード
販売手数料がかからないことを「ノーロード」と呼ぶ。
ロード(load)は、負荷や荷重という意味があり、購入時の荷重がゼロという意味で使われる。
運用中にかかる手数料
運用中にかかる手数料は信託報酬と呼ばれ、投資信託の運用中に継続して発生する費用です。
この信託報酬は、保有資産の額に応じた年率で徴収されます。
信託報酬は、基準価額計算時に日割り計算される際に、自動的に徴収されます。
また、信託報酬は、販売会社、運用会社、信託銀行の3つに分配されます。
【参考】運用中に間接的に負担する費用
運用中は、上記の信託報酬に加えて、以下の費用も負担することになる。
- 監査報酬
- 有価証券の売買委託手数料
- 資産を外国で保管する際の手数料 など
このため、実際に支払う運用費用(総経費)もあわせて確認することが重要である。
信託報酬の目安は目論見書に記載されているため、購入前に必ず確認しておきましょう!
解約時にかかる手数料
解約時にかかる手数料は信託財産留保額と呼ばれ、投資信託の解約時や売却時に発生する費用です。
このような費用が発生する理由として、株式や債券を現金化する際の手数料や損失を公平に負担するためです。
例えば、以下のように売却した人が何も費用を負担しないかつ損失が発生した場合、その損失を他の投資家が穴埋めする必要があります。
これでは、頻繁に売買する人と長期保有する人の間で、不公平さが生じますね。
これを回避するため、売却した人が損失分の穴埋めをする仕組みを導入してみましょう。
この場合、頻繁に売買する人がその際の費用を負担することになるため、全体的で捉えると公平さが保たれますね。
実際には、株式や債券を換金する際の手数料も含まれます。
信託財産留保額の金額も目論見書に記載されているため、購入前に必ず確認しておきましょう!
なお、信託財産留保額は、解約代金から直接徴収されます。
新NISAにおける手数料比較
投資信託にかかる手数料が理解できた後は、新NISAにおいて、具体的にかかる費用を確認していきたいと思います。
新NISAにおける手数料比較3つ
また、新NISAのつみたて投資枠における概要図は以下に示す通りです。
購入時にかかる手数料
購入時にかかる手数料(販売手数料)は、つみたて投資枠と成長投資枠で異なります。
それぞれ具体的に確認してみましょう。
投資枠ごとの購入時にかかる手数料
つみたて投資枠:購入時手数料は無料
つみたて投資枠で購入できる金融商品の場合、購入時に手数料はかかりません。
例えば、当サイトでおすすめしているeMAXIS Slim米国株式(S&P500)も、購入時に手数料はかかりません。
上記は新NISAを利用していない場合でも、手数料が無料ですね。
成長投資枠:金融機関ごとに異なる
成長投資枠の場合、金融機関ごとに手数料は異なります。
例えば、ぐんぎん証券の場合、「お申込代金の最大3.30%」が購入時手数料としてかかってきます。
このため、手数料がかかる場合はどの程度かかるかを事前に確認することが重要です。
運用中にかかる手数料
途中でお伝えした通り、投資信託は専門家が私達の代わりに資産運用を行うため、保有資産の額に応じた手数料(信託報酬)がかかります。
代表的な投資信託として、当サイトで取り上げているオルカンとS&P500を例に取り上げ、運用時にかかる手数料を確認しましょう!
S&P500の場合
2024年11月時点では、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の運用時にかかる手数料(信託報酬)は、年率0.09372%です。
例えば、年間50万円をeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に投資した場合、その手数料(信託報酬)は約469円です。
オルカンよりは少し高いですが、年間500円以内の手数料で投資できますね。
オルカンの場合
2024年11月時点では、オルカンの運用時の手数料(信託報酬)は、年率0.05775%です。
例えば、年間50万円をオルカンに投資した場合、その手数料(信託報酬)は約289円です。
低コストで全世界の株式に分散投資できる点が魅力的ですね。
解約時にかかる手数料
解約時にかかる手数料(信託財産留保額)は、金融商品ごとに異なります。
嬉しいことに、オルカンとS&P500の場合、解約時の手数料はかかりません。
一方、販売先(ネット系証券、証券会社、銀行など)による違いは存在します。
例えば、野村証券の場合、最大2.0%の信託財産留保額がかかる場合がある旨が記されています。
換金時の基準価額に対して最大2.0%の信託財産留保額をご負担いただく場合があります。
NISA つみたて投資枠(出典:野村証券)
売却して利益確定するまでが投資なので、手元にお金が戻ってくるまでの手数料は事前に確認しておきましょう!
投資信託の選定基準3つ
ここまでで、各種手数料について解説しました。
「じゃあ、どのような基準で投資先を選べば良いの?」と思った方もいるかもしれません。
以降では、以下の3つの観点で投資信託を選定する際の基準を紹介します。
投資信託の選定基準3つ
インデック型の投資信託か?
コストを抑えて運用したい場合、インデック型の投資信託か?に着目することがおすすめです。
なぜなら、インデック型の投資信託の場合、銘柄分析時の人件費や売買手数料など運用時のコストを大幅に抑えられるためです。
インデック型の投資信託では、インデックス運用を採用していますよ!
【参考】インデックス運用とアクティブ運用
- インデックス運用
ベンチマーク対象の株価指数(インデックス)に連動する投資成果を目指す運用方法
株価指数と同じ構成で銘柄を揃えればよいため、低コストになる傾向がある。 - アクティブ運用
ベンチマーク対象の株価指数(インデックス)を上回る成績を目指す運用方法
市場動向や対象企業の調査結果をもとに、運用対象銘柄やその配分を考える必要があるため、運用コストが増大する傾向がある。
また、「資産運用業者の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)に関する調査(出典:金融庁)」には、以下のような記載があります。
今回の調査では、バラツキはあるものの、多くの分類において運用コストと運用パフォーマンスの間に、統計的に有意なマイナス相関が認められた。
https://www.fsa.go.jp/common/about/research/survey.pdf
これは、多くの場合、アクティブ運用はインデックス運用の平均パフォーマンスを下回る傾向がある、ことを意味しています。
投資成績とコストを考慮すると、投資初心者はインデックス型の投資信託を購入しておくのが良さそうです。
購入時の手数料が無料か?
購入時の手数料が無料であることの確認も重要です。
新NISAのつみたて投資枠で購入する場合、購入時の手数料がかからないんでしたね!
なぜなら、購入時に手数料がかかるということは、その手数料分だけ投資に回せるお金が少なくなることを意味するからです。
先ほども取り上げた野村証券の場合、購入金額に対して最大5.5%の購入時手数料がかかることが記載されています。
お申込み金額に対して最大5.5%(税込み)の購入時手数料(換金時手数料)をいただきます。
https://www.nomura.co.jp/retail/nisa/nisa-2024/reserve/
以上を踏まえ、基本的には、購入時の手数料がかからない金融商品・販売先を選ぶようにすることをおすすめします。
解約時の手数料が無料か?
購入時の手数料と同様に、解約時の手数料が無料であることの確認も重要です。
なぜなら、解約時に手数料がかかるということは、その手数料分だけ投資で得た利益が少なくなることを意味するからです。
特に、優待株投資など比較的短期間で取引を多く行う場合は、事前に必要金額を試算しておきましょう。
個人的には、長期・分散・積立のスタイルで、じっくり投資を行うことをおすすめします。
結局オルカンとS&P500のどっちがおすすめ?
投資をする場合はオルカンとS&P500のどちらがおすすめになるかを紹介します。
投資先の選び方2つ
米国経済の成長を期待するなら、S&P500
今後も米国経済が成長していくと考えているのであれば、S&P500に投資するのをおすすめします。
なぜなら、2023年末時点でオルカンの投資先の約60%が米国であり、米国の影響を強く受ける銘柄構成になっているためです。
これは見方を変えると、米国が世界経済を牽引していると解釈できます。
実際、米国にはMicrosoft、Amazon、Google、Appleなどの世界的なシェアを占める巨大企業が多数存在しています。
個人的には、しばらくは、この傾向が続くと考えています。
世界経済の長期的な成長を期待するなら、オルカン
昨今、中国やインドの経済成長も進んできているため、長期的に世界経済が成長すると考えているのであれば、オルカンに投資するのをおすすめします。
特に、アメリカの経済成長に陰りが出てくることを懸念している場合、その時々の世界経済の動向にあわせて構成銘柄が組み変わるオルカンに投資すると良いでしょう!
【実体験】新NISAでの投資状況
参考までに、私の投資先の内訳と投資実績を紹介します。
毎月の投資額内訳
2024年11月時点で、毎月の投資額の内訳は、以下のようになっています。
毎月の投資額は5万円とし、その内3,000円分だけは成長投資枠で扱っている金融商品を購入しています。
無理のない範囲内で投資を行っています。
投資実績
2024年11月時点における、これまでの投資実績もあわせて紹介したいと思います。
投資実績は、以下に示す通りです。
旧NISAでも投資を行っていたので、その分が加算されています。
上記の投資実績の内訳を整理すると以下のようになりますね。
区分 | 投資金額 | 評価額 | 含み益 |
---|---|---|---|
旧NISA | 1,084,800円 | 1,774,404円 | +689,604円 |
新NISA | 517,000円 | 584,132円 | +67,132円 |
合計 | 1,601,800円 | 2,358,536円 | +756,736円 |
継続して投資を続け、15年程様子を見ようと思います。
自分の投資スタイルにあわせて投資先を選ぼう!
今回は以下の内容について解説しました。
今回の内容
今回は、投資信託の基本的な仕組みを解説した上で、オルカンとS&P500を題材に、手数料の種類や新NISAにおける手数料を紹介しました。
新NISAのつみたて投資枠が以下のような建付けになっていることを考えると、運用時の手数料(信託報酬)が極力安くすむものを選ぶことをおすすめします。
また、投資信託の選定基準や私の投資状況も紹介しました。
私の資産状況は一例なので参考程度とし、ご自身のペースに合わせて投資を実施していってください。
これから資産運用を始める方
NISAなど資産運用を始めるには、証券口座の開設が必要です。
また、証券口座を開設するなら、取引コストを抑えられる松井証券がおすすめ!
この機会に、証券口座を開設しておくことをおすすめします!