この記事では、S&P500とNASDAQ100の特徴、メリット・デメリット、どちらを選べば良いか?について解説します。
実際に私もS&P500とNASDAQ100の特徴やメリット・デメリットを把握した上で、購入する銘柄を決めることができました。
記事前半ではS&P500とNASDAQ100の概要と特徴を、後半ではそれぞれのメリット・デメリットに加えて選び方も解説します。
この記事を書いた人
- 『NISAの達人』の管理人
- 会社員&ブロガー
- 新NISA(選び方、買い方、運用方法)について発信
この記事を読み終えることで、S&P500とNASDAQ100の特徴やメリット・デメリットを把握できるだけではなく、どちらを選べば良いかも判断できるようになります。
これから資産運用を始める方
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S&P500とは?
S&P500とは、米国を代表する株価指数の1つで、米国の主要取引所(NASDAQ、ニューヨーク証券取引所など)に上場している企業約500社が対象となっています。
S&P500は有名かつ強力な株価指数(インデックス)として知られており、多くの投資信託がこの指数に連動するパフォーマンスを出すことを目標にしています。
個別銘柄ごとのパフォーマンスのバラツキが比較的小さい、という特徴もありますよ。
また、S&P500に採用される企業の特徴4つは、以下に示す通りです。
S&P500に採用される企業の特徴4つ
- 大型株の基準を満たす、一定額以上の時価総額があること
- 十分な浮動株を有すること
- 十分な流動性を有すること
- 4四半期連続で黒字の利益を維持していること
NASDAQ100とは?
NASDAQ100は、NASDAQ市場の時価総額上位100社(金融を除く)で構成される株価指数です。
NASDAQは、IT企業やハイテク企業などが中心となって構成されており、新興企業(ベンチャー企業)向けの株式市場としては、世界最大規模となります。
NASDAQに上場している企業数は、約3,000銘柄です。
S&P500とNASDAQ100の特徴4つ
S&P500とNASDAQ100の違いを次の4つに分けて解説します。
S&P500とNASDAQ100の違い4つ
順に解説しますね。
構成銘柄
2024年7月時点におけるS&P500とNASDAQ100の上位10銘柄の構成は以下のようになります。
順位 | S&P500 | NASDAQ100 |
---|---|---|
1位 | Microsoft Corp | Microsoft Corp |
2位 | NVIDIA Corp | Apple Inc |
3位 | Apple Inc | NVIDIA Corp |
4位 | Amazon.com Inc | Amazon.com Inc |
5位 | Meta Platforms Inc | Broadcom Inc |
6位 | Alphabet Inc (Class A) | Meta Platforms Inc |
7位 | Alphabet Inc (Class C) | Alphabet Inc (Class A) |
8位 | Berkshire Hathaway B | Alphabet Inc (Class C) |
9位 | Eli Lilly & Co | Costco Wholesale Corp |
10位 | Broadcom Inc | Tesla Inc |
上位10銘柄が占める割合 | 35.8% | 50.23% |
上位10銘柄は似通っていますね!
また、上位10銘柄が占める割合に注目すると、S&P500が全体の3割程度であることに対し、NASDAQ100の場合は5割以上を占めています。
このことから、NASDAQ100の株価指数は上位10銘柄の影響を受けやすいと言えます。
セクター別の構成比率
S&P500とNASDAQ100のセクター別(業種別)の内訳は以下のようになります。
以下は、上記の円グラフから読み取れる特徴をまとめたものです。
S&P500とNASDAQ100の特徴
S&P500
- IT(Information Technology)、金融(Financials)、ヘルスケアなど多岐に渡りかつ、バランスが取れている。
- 一般消費財(Consumer Discretionary)は、NASDAQ100よりも少ない。
- 生活必需品(Consumer Staples)やヘルスケア(Health Care)は、NASDAQ100よりも多い。
NASDAQ100
- ITが半分以上を占めている。
- 景気変動を受けやすい一般消費財が、2番目に多い。
- 景気変動を受けにくい生活必需品やヘルスケアは、S&P500より少ない。
このことから、S&P500はバランス型、NASDAQ100は成長型で構成されると考えられます。
株価推移
次に株価推移は以下のようになります。
株価推移として、1980年1月から2024年6月の約44年間で、S&P500は約50倍、NASDAQ100は約110倍になっていることが分かります。
日経平均は5倍程度で落ち着いていますね。
いずれも長期的には成長している一方、短期的にはNASDAQ100の方がS&P500よりも値動きが激しいです。
このように、一時的に大きなリターンが得られることもあれば、株価が急落するリスクもあるため、リスク許容度の範囲内で長期的に投資することが重要になります。
指数の成長性
下記は米国の代表的な指数の伸び率を表した図です。
上記の図から分かるように、S&P500やNASDAQ100はいずれもEPSの成長率が2倍~3倍になっていることが分かります。
EPSは1株あたりの純利益のことです。
この結果を踏まえると、S&P500やNASDAQ100には、将来的に成長が見込める銘柄が相対的に多く含まれると考えられます。
S&P500とNASDAQ100のメリット2つ
S&P500とNASDAQ100の特徴が理解できたと思います。
以降では、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
まず、以下の2つがS&P500とNASDAQ100のメリットです。
S&P500とNASDAQ100のメリット2つ
順に解説しますね。
中長期でリターンを得られる可能性が高い
株価推移からも分かるように、S&P500やNASDAQ100は長期的に成長しています。
この理由の1つとして、米国株式市場の1日の平均取引量が年々増加していることが挙げられます。
具体的な推移は以下に示す通りです。
取引量の増加は、今後の成長を見込んでお金を預ける(=投資する)ことに相当します。
また、米国企業は投資資金を活用した企業活動により利益を獲得でき、得られた利益を株主に還元できます。
よって、S&P500やNASDAQ100に対して中長期的な投資を行うことで、リターンを得られる可能性が高いです。
米国の経済成長を享受できる
株価推移の実績のほか、米国には株価が上昇しやすい仕組みが整っているという特徴もあります。
米国に備わっている仕組み3つ
- 株主還元を重視する傾向
- 世界をリードする巨大企業の存在
- 長期的な人口増加
これらの詳細は、下記の記事で解説しています。
また、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)を代表とする米国の巨大企業の多くは、IT系です。
S&P500やNASDAQ100に投資することで、これらの企業成長による恩恵すなわち、米国の経済成長の恩恵を享受できます。
S&P500やNASDAQ100はIT系の割合が一番多いんでしたね!
S&P500とNASDAQ100のデメリット2つ
次に、以下の2つがS&P500とNASDAQ100のデメリットです。
S&P500とNASDAQ100のデメリット2つ
順に解説しますね。
米国以外の経済成長の恩恵を受けられない
S&P500やNASDAQ100は米国の企業に対して投資するため、インドや中国といった米国以外の経済成長の恩恵は受けられません。
投資先を米国に限定していることは理解しておきましょう!
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IT系の景気の影響を受けやすい
S&P500やNASDAQ100は、IT系の占める割合が最も多いです。
このため、IT系の業績低迷に伴い株価が下落します。
IT系の業績低迷による株価の変動幅は、NASDAQ100の方が大きくなります。
以下のグラフは1995年1月から2020年12月までの期間におけるS&P500とNASDAQ100の株価の推移です。
この期間で株価の暴落が3回発生しており、それぞれの下落率は以下のようになります。
イベント | 計測期間 | S&P500の下落率 | NASDAQ100の下落率 |
---|---|---|---|
ITバブル崩壊 | 2000年2月~2002年9月 | 46.28% | 75.04% |
リーマンショック | 2007年10月~2009年2月 | 52.56% | 51.81% |
コロナショック | 2020年1月~2020年3月 | 19.87% | 15.85% |
ITバブル崩壊時は、NASDAQ100の株価が大幅に下落していることが分かりますね。
S&P500やNASDAQ100に投資する際は、特定のセクターが株価に影響を与えることも理解しておきましょう。
S&P500とNASDAQ100のどちらを選べば良い?
S&P500とNASDAQ100のメリット・デメリットを紹介しました。
その上で、「どちらを選べば良いの?」と思っている方も多いと思います。
ここでは、選び方2パターンについて解説します。
S&P500とNASDAQ100の選び方2パターン
新NISAで選ぶならS&P500
以下の2つの理由から、多くの方におすすめできるのはS&P500です。
S&P500がおすすめできる理由2つ
- 株価の価格変動率がNASDAQ100よりも小さい
- 投資信託の手数料が安い
以下は、1995年1月1日から2020年12月31日までのS&P500とNASDAQ100の価格変動率のグラフです。
このグラフの縦軸から、S&P500の方が価格変動幅が小さいことが分かります。
また、代表的な証券会社におけるそれぞれの投資信託の手数料は以下の通りです。
証券会社 | S&P500の手数料 | NASDAQ100の手数料 |
---|---|---|
楽天証券 | 0.09372% | 0.2035% |
SBI証券 | 0.09372% | 0.2035% |
松井証券 | 0.09380% | 0.2035% |
上記の表からS&P500の方が投資信託の手数料が安いことが分かりますね。
両方積み立てるのもアリ
S&P500がおすすめできる一方で、リスクを取って大きなリターンを得たい方もいると思います。
その場合、S&P500とNASDAQ100の両方を積み立てていく、という方法もあります。
ただし、S&P500とNASDAQ100を両方積み立てた時、分散効果がほぼ無くなる点には注意が必要です。
私は安定性を重視して、S&P500の割合を多めにして積み立てています。
コラム:分散投資の必要性
投資の世界には「卵を1つのカゴに盛るな」という有名な格言があります。
卵を1つのカゴに盛ると、そのカゴを落としたときに全部割れてしまう可能性があります。
しかし、複数のカゴに分けておけば、1つのカゴを落としても残りの卵が割れることはないです。
このように、投資を行う際は、投資先や購入時期にバラツキを持たせて、リスクを分散することが大切です。
よくある質問3つ
S&P500とNASDAQ100に関するよくある質問をまとめました。
NASDAQ100だけ購入する方法はあるの?
両方積み立てる際のバランスは?
投資する際の年齢、余剰資金の規模、リスク許容度により異なるため、万人向けの回答は存在しません。
参考までに、私の毎月の積立設定を例として示しておきますね。
新NISAにおける積立例
- S&P500
15,000円(全体の約83%) - NASDAQ100
3,000円(全体の約17%) - 積立合計額
18,000円
また、この比率で購入した際のセクターごとの割合は以下のようになります。
セクター S&P500における割合 NASDAQ100における割合 Information Technology(IT) 27.00% 10.25% Financials(金融) 10.33% 0.00% Health Care(ヘルスケア) 9.75% 1.02% Consumer Discretionary(一般消費財) 8.33% 2.92% Telecommunications(電気通信) 7.75% 0.67% Industrials(資本財) 6.75% 0.68% Consumer Staples(生活必需品) 4.83% 0.56% Energy(エネルギー) 3.00% 0.08% Utilities(公益) 1.92% 0.20% Basic Materials(素材) 1.83% 0.28% Real Estate(不動産) 1.83% 0.03% S&P500とNASDAQ100のそれぞれにおけるセクター別の割合 - S&P500
NASDAQとNASDAQ100って違うもの?
NASDAQとNASDAQ100は異なるものを指し、それぞれ以下のような違いがあります。
NASDAQとNASDAQ100の違い
- NASDAQ
1971年に設立された証券取引所のことで、米国の株式市場の一つ。 - NASDAQ100
NASDAQ市場のうち、代表的な100銘柄で構成される株価指数。
投資信託のインデックスと関連するのは、NASDAQ100の方になりますよ!
にむ- NASDAQ
まとめ
今回は、以下について解説しました。
今回の内容
株価指数には様々なものがありますが、今回はS&P500とNASDAQ100を取り上げて解説しました。
S&P500とNASDAQ100に対し、構成銘柄や過去の成績など、踏み込んだ内容を紹介することで、それぞれの特徴、メリット・デメリットが理解できたと思います。
また、株価の変動幅や構成銘柄を踏まえると、S&P500を選択して長期投資を行うことで、将来的に資産が増える可能性があることもお伝えしました。
今回紹介した内容を参考に、ご自身にあった投資先を決めてみてください。
また、新NISA制度と組み合わせることで、税制優遇を受けながら長期・積立・分散の3本柱で資産形成を行うことができますよ!
これから資産運用を始める方
NISAなど資産運用を始めるには、証券口座の開設が必要です。
また、証券口座を開設するなら、取引コストを抑えられる松井証券がおすすめ!
この機会に、証券口座を開設しておくことをおすすめします!