この記事で解決できる悩み
この記事では、S&P500配当貴族指数の特徴や投資する際の注意点について解説しています。
私も、この指数の特徴や注意点を把握した上で、投資先の選定を行っています。(私の場合は、投資先から除外しています。)
記事前半ではS&P500配当貴族指数の特徴や構成銘柄を、後半では他の指数との比較や注意点を解説します。
この記事を書いた人
- 『NISAの達人』の管理人
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- 新NISA(選び方、買い方、運用方法)について発信
この記事でご紹介するS&P500配当貴族指数の「特徴」や「注意点」を把握すれば、投資先の候補になり得るかを判断できますよ。
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S&P500配当貴族指数とは?
S&P500配当貴族指数とは、S&P500指数の銘柄のうち「長期的に継続して配当を増やし続けてきた企業」で構成される株価指数を指します。
具体的な選定条件や銘柄の構成条件など、以下の2点に着目して詳しく解説します。
配当金の増額有無
具体的な条件は4つあり、詳細は以下に示す通りです。
S&P500配当貴族指数の選定条件4つ
- S&P500の構成銘柄であること
- 時価総額が30億ドル以上であること
- 1日あたりの売買代金の平均値が500万ドル以上であること
- 少なくとも25年連続で増配していること
上記から分かる通り、S&P500の該当銘柄のうち、追加条件を満たす銘柄が対象となります。
また、2024年5月末時点で、該当銘柄は67銘柄あります。
該当銘柄の最小数
S&P500配当貴族指数の構成銘柄は、最低40銘柄となっています。
また、これに満たない場合は選定条件が緩和されるようになっており、具体的なプロセスは以下に示す通りです。
条件緩和プロセス2ステップ
- 構成銘柄以外の銘柄に対し、増配実績の長さと配当利回りでランク付けする。
その上で、連続20年以上増配実績がある銘柄を配当利回りが高い順に選択する。 - 上記の方法で構成銘柄が40に満たない場合、構成銘柄数が40になるまで、配当利回りの高い順に銘柄を選択する。
さらに、一度でも配当金を減配もしくは据え置きした場合や、S&P500銘柄から外れた場合、この指数からも除外されます。
この指数に選ばれ続けることは、極めて厳しい条件をクリアした銘柄といますね!
S&P500配当貴族指数の特徴3つ
続いて、S&P500配当貴族指数の特徴3つを以下の順に紹介します。
S&P500配当貴族指数の特徴3つ
安定収益が見込める銘柄が存在
S&P500配当貴族指数には、素材、金融、生活必需品などのセクター(業種)に関連する銘柄が多く含まれます。
この理由として、これらのセクターは景気に依存しづらいことが挙げられます。
実際、仮に不景気になったとしても住宅ローンの返済や食品等の日用品の需要が無くなる訳ではないです。
このため、常に一定の需要があり安定して収益化ができる銘柄が多く含まれている、という特徴があります。
下落耐性を持つ銘柄が存在
S&P500配当貴族指数とS&P500指数の年間騰落率の推移から、以下の2つの特徴があることが分かります。
年間騰落率の推移に基づく特徴2つ
- S&P500指数が下落した年
S&P500配当貴族指数は、S&P500指数よりも下落率が小さい
- S&P500指数が上昇した年
S&P500配当貴族指数は、S&P500指数相当の上昇率である
ここから、下落耐性を持つ銘柄が含まれていると考えられます。
将来的な傾向を保証するわけではないですが、今後も似たような特徴が現れると考えられますね。
構成比率に上限が存在
S&P500配当貴族指数において、構成銘柄の比率(ウェイト)には制約があります。
具体的には、単一セクターの比率の上限が30%と決まっています。
構成銘柄の比率の制約に関しても、緩和条件がありますよ!
このような制約から、S&P500配当貴族指数は、色々なセクター(業種)に分散されているという特徴があると言えます。
他にも、情報技術は配当が出にくいため、構成比率も5%程度という特徴もあります。
S&P500配当貴族指数の構成は?
S&P500配当貴族指数の特徴を把握した後は、この指数の具体的な構成や銘柄の内訳を紹介したいと思います。
S&P500配当貴族指数の構成:観点2つ
セクター(業種)の内訳
S&P500配当貴族指数における、セクター(業種)の内訳は以下に示す通りです。
また、比較のために下記に示すS&P500のセクター別内訳も示しておきます。
これらを比較すると以下の3つの違いがあることが分かりますね。
S&P500配当貴族指数とS&P500の違い3つ
- S&P500配当貴族指数は、情報技術(IT)の比重が小さい。
- 素材と生活必需品の比重は大きく、全体の半分近くを占める。
- 金融とヘルスケアは同程度の比重になっている
この結果からも、安定収益が見込めるセクターが大部分を占めていることが分かりますね。
構成銘柄上位10位の内訳
また、構成銘柄上位10位の内訳は、以下のようになっています。
順位 | 構成銘柄 | セクター(業種) |
---|---|---|
1 | CH Robinson Worldwide Inc | 資本財・サービス |
2 | Brown & Brown Inc | 金融 |
3 | S&P Global Inc | 金融 |
4 | Amcor plc | 素材 |
5 | Stanley Black & Decker | 資本財・サービス |
6 | Walmart Inc. | 生活必需品 |
7 | Sherwin-Williams Co | 素材 |
8 | NextEra Energy Inc | 公益事業 |
9 | Essex Property Trust | 不動産 |
10 | Cintas Corp | 資本財・サービス |
日本ではIT系(Google、Microsoftなど)ほど知られていない銘柄が多いですが、いずれも高い収益をあげています。
例えば、6位のWalmartは、売上額で世界最大の企業です。
このように、長期的に成長しておりかつ、一定の需要がある企業が揃っています。
他の指数との比較結果3つ
続いて、S&P500配当貴族指数の成績を確認するため、米国の代表的な指数3つと比較した結果を確認します。
米国の代表的な指数3つ
今回は2015/1/2を100として、2015年~2023年のチャートを比較しました。
NASDAQ100
S&P500配当貴族指数とNASDAQ100の比較結果は、以下のようになりました。
NASDAQ100の方が株価は上昇していますが、振れ幅が大きいです。
特に2021年~2023年の期間を拡大すると以下のようになります。
S&P500配当貴族指数と比較して、NASDAQ100は3倍以上株価が変動していることが分かりますね。
ここから、S&P500配当貴族指数の方が株価の値動きが安定していると言えるでしょう!
NYダウ・ジョーンズ工業株価平均
S&P500配当貴族指数とNYダウ・ジョーンズ工業株価平均の比較結果は、以下のようになりました。
比較結果から分かるように、どちらも似たような値動きをしていますね。
振れ幅は全期間でS&P500配当貴族指数が45.97、NYダウ・ジョーンズ工業株価平均が48.30でほとんど差はありません。
S&P500
S&P500配当貴族指数とS&P500の比較結果は、以下のようになりました。
こちらの結果に関しても、どちらも似たような値動きをしていますね。
ただ、2022年以降では、S&P500の方が振れ幅が大きくなっています。
どのケースにおいても、S&P500配当貴族指数の方が安定していますね。
指数に投資する際の注意点2つ
ここまでで、S&P500配当貴族指数が優秀な指数であることを説明しました。
一方、S&P500配当貴族指数に投資する際の注意点が2つあるため、あわせて解説します。
S&P500配当貴族指数に投資する際の注意点2つ
値上がり益を期待しづらい
S&P500配当貴族指数の銘柄は、急成長銘柄と比較して大きな値上がり益を期待しづらい場合があります。
何故なら、多くの場合、該当銘柄は配当金として株主還元を優先しており、事業投資に回せる利益が少ないためです。
例えば、「CH Robinson Worldwide Inc(2024年6月末時点:S&P500配当貴族指数で1位)」の過去20年間のチャートは以下のようになります。
一方、「Microsoft Corporation(2024年6月末時点:S&P500で1位)」の過去20年間のチャートは以下のようになります。
S&P500配当貴族指数とS&P500の上位3銘柄の成長率は以下のようになっており、S&P500の銘柄の方が値上がり益を期待できるでしょう。
順位 | S&P500の銘柄 | 成長率 | S&P500配当貴族指数の銘柄 | 成長率 |
---|---|---|---|---|
1 | Microsoft Corp | 約12倍 | CH Robinson Worldwide Inc | 約5倍 |
2 | NVIDIA Corp | 約255倍 | Brown & Brown Inc | 約8倍 |
3 | Apple Inc | 約503倍 | S&P Global Inc | 約12倍 |
将来も同様に成長していくことを保証する訳ではないです。
手数料が割高である
投資する際にかかる手数料が割高な点にも注意が必要です。
例えば、日興アセットマネジメントが運用している「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の信託報酬は年率0.1155%となっています。
一方、総経費率は0.26%となっており、オルカンやS&P500と比較して割高です。
参考:代表的な投資信託の総経費率
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー):0.11%
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):0.10%
このように、隠れコストがあることにも注意しましょう。
S&P500配当貴族指数に関するよくある質問
S&P500配当貴族指数に関するよくある質問を紹介します。
運用実績はどの位なの?
「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の場合、2023年11月時点で、5.3%値上がりしています。
配当金はいくら貰えるの?
「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の場合、2023年時点で配当金(分配金)は、ありません。
配当利回りの水準はどの位?
「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の場合、2.4%となっています。
高配当と言われるのは4%以上のため、特別、配当利回りが高い訳ではないです。
にむ
リスクとリターンを理解した上で投資をしよう!
今回は、以下について解説しました。
S&P500配当貴族指数は、長期的に増配実績がある銘柄を集めた指数のため、景気に左右されづらいという特徴があります。
一方、急激に成長するケースはほとんどないため、値上がり益を期待しづらいことに注意が必要です。
今回の記事の内容を参考にした上で、ご自身の投資スタイルにあわせて投資対象に含めるか否かを決めてみてください。
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