新NISAの成長投資枠を活用して、優待株投資の銘柄の選び方とオススメの銘柄について解説します。
私も今回ご紹介する銘柄の選び方に基づいて優待株を購入し、企業から優待品を貰うことができています。

記事の前半では優待株投資の事前知識と銘柄の選び方を、後半では投資時の注意点とオススメの銘柄を具体的に解説します。

この記事を書いた人
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- 会社員&ブロガー
- 新NISA(選び方、買い方、運用方法、ノウハウ)について発信
- 2025年2月時点で、NISAで含み益約77万円を達成中!


この記事を読み終えることで、優待株投資の銘柄の選び方が分かるだけではなく、実際にどのような銘柄を購入すればよいかも理解できた状態になります。
これから資産運用を始める方
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株主優待を始める前に知っておくべきこと3つ
まず、新NISAで株主優待を狙った投資(優待株投資)をする上で、知っておくべきことについて解説します。
株主優待を始める前に知っておくべきこと3つ
新NISAの成長投資枠を使う
新NISAで優待株投資をする場合、成長投資枠を使うことになります。
なぜなら、つみたて投資枠では上場株式を購入できる仕組みになっていないためです。


以下の記事で、つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け方を解説しているので、参考にしてください。

例えば、成長投資枠であれば、NTT(9432)やソフトバンク(9434)といった有名企業の株式を購入できます。
また、新NISAの成長投資枠で配当金を受け取る場合、口座開設の方法によっては課税される可能性があるため、注意が必要です。

ネット証券で新NISA口座を開設するをオススメします。

権利付き最終日まで株式を保有する
優待株投資で優待品を受け取るためには、権利付き最終日まで株式を保有しておく必要があります。
用語説明:権利付き最終日とは?
株主の権利(配当・株主優待・株式分割・株式無償交付等)を取得することができる最終取引日を指します。
権利確定日の2営業日前が権利付最終日となり、権利付最終日の大引け時点で、該当する銘柄を保有していれば、株主の権利を取得できます。
出典:松井証券
なぜなら、権利付き最終日以降に株式を購入しても、当期の株主の権利(配当や株主優待など)を取得できないためです。
次回の権利付き最終日まで保有していれば、株主の権利を得ることができます。

例えば、権利確定日が30日(月)だった場合、権利付き最終日は2営業日前の26日(木)となります。

権利付き月は株価が上昇しやすい傾向があるため、余裕をもって購入することをオススメします。

優待が改悪・廃止される可能性もある
優待内容が改悪される場合や、優待自体が廃止される可能性があることも理解しておきましょう。
株主優待が廃止される理由として、費用負担の増加や海外株主の増加などが考えられます。
今回は、野村インベスター・リレーションズによる調査結果をもとに、解説します。

アンケート結果に基づくと、株主優待を廃止する場合の検討理由は、以下に示す通りです。

上記から、年々増加している項目を取り上げると、以下の2つが挙げられます。
株主優待廃止時の検討項目2つ
- 費用負担が大きくなりすぎた
- 海外の株主が一定以上に増加
また、認知度や個人株主数が増えない点も懸念点として挙がっていることが分かりますね。
多くの企業が「廃止するつもりはない」と回答しているため、上記は参考程度の情報となります。

このため、コスト増加や業績悪化などにより、優待廃止になる可能性があることに注意しましょう。
一方、株主優待を実施する企業は年々増加傾向にあるため、今後も優待情報をチェックしていくことをおススメします。

ここ30年間で株主優待を実施する企業の割合は3倍以上(9.5%→33.9%)になっていますね。

株主優待を選ぶ際の着眼点6つ
優待株投資を行う上で、銘柄選びは極めて重要になります。
ここでは、株主優待を選ぶ際の着眼点について解説します。
今回は、企業情報を得る上で、バフェットコードを活用しました。
事業内容が理解できる
大前提として、投資先企業の事業内容が理解できるかどうかを判断しましょう。
なぜなら、事業内容を理解せずに投資してしまうと、投資を続けて良いかの判断が難しくなるためです。
例えば、私が最初に購入した優待株として「ビックカメラ(3048)」と「クリエイト・レストランツHD(3387)」があります。


多くの方にとって、ビックカメラはすでに知っている企業だと思いますが、クリエイト・レストランツHDは初めて聞く方も多いと思います。
それぞれの企業における事業内容の概要は、以下に示す通りです。
各社の事業内容
このように、家電量販店や飲食店を営む企業である、という事業内容の概要を理解した上で、投資するようにしましょう。
調べた上で事業内容が不明確な場合は、投資するのを控えた方が良いです。

総合利回りが4%以上である
優待株投資をする上で、重要な指標として総合利回り(= 配当利回り+優待利回り)があります。
可能な限り、この総合利回りが4%以上の銘柄を選ぶようにしましょう。
この4%ルールは、アメリカのトリニティ大学で発表された資産運用に関する研究結果が元になっています。
毎年資産の4%を取り崩すことで、資産が枯渇する可能性が低くなることが示唆されています。

例えば、先ほど取り上げた銘柄の場合、2025年8月末時点での優待内容、配当利回り、優待利回りは、それぞれ以下のようになります。
項目 | ビックカメラ(3048) | クリエイト・レストランツHD(3387) |
---|---|---|
株価 | 1,585円 | 795円 |
優待内容 | 1.年間4,000円分の優待買物割引券 | 年間3,000円分の優待食事割引券 |
配当利回り | 2.52% | 0.56% |
優待利回り | 1.89% | 3.77% |
(参考)総合利回り | 4.41% | 4.33% |
このように、優待内容を確認した上で、総合利回り4%以上のものを優先して購入することをオススメします。
中には利回りが高すぎるものもあるため、以降の着眼点も考慮して購入可否を判断しましょう。

売上と純利益が増加傾向である
優待株投資に限らないですが、個別株投資をする場合は企業の売上や利益が減少していないことが重要です。
なぜなら、配当や優待品を受け取る上で、投資先の企業が今後も継続的に成長していくかどうかを見極める必要があるためです。
先ほど取り上げた銘柄の直近3年間の売上と純利益は、以下のようになっています。
時期 | 売上(百万円) | 純利益(百万円) | 純利益率(%) |
---|---|---|---|
2022年8月 | 792,368 | 5,765 | 0.7 |
2023年8月 | 815,560 | 2,936 | 0.4 |
2024年8月 | 922,572 | 13,908 | 1.5 |
時期 | 売上(百万円) | 純利益(百万円) | 純利益率(%) |
---|---|---|---|
2023年2月 | 118,240 | 3,385 | 2.9 |
2024年2月 | 145,759 | 5,041 | 3.5 |
2025年2月 | 156,354 | 5,590 | 3.6 |
上記のように、年々成長している企業に投資するのが望ましいです。
ただ、一概に評価できないことが多いので、私の場合は、以下のような基準で3段階評価しています。
観点 | 評価結果 |
---|---|
過去3年間で、売上と純利益が概ね上がり続けている | 良好(○) |
過去3年間で、売上と純利益が下がり続けている | 注意(△) |
過去3年間のうち、1回以上利益がマイナスになっている(赤字) | 不良(×) |
上記の基準を用いて、赤字企業には投資しないようにしています。

純資産が増加傾向である
企業の財務状況を判断する指標として、純資産があります。
用語説明:純資産とは?
純資産とは、誰かに返済する義務のない企業の資産のことです。
出典:弥生株式会社
純資産が多いほど、借金に頼らずに事業を運営できていることになるため、企業選定時の重要な指標になります。
不動産業や金融業などレバレッジを効かせる事業の場合、純資産が低くなる傾向があります。

先ほど取り上げた銘柄の直近3年間の純資産は、以下のようになっています。
時期 | 純資産(百万円) |
---|---|
2022年8月 | 169,133 |
2023年8月 | 176,383 |
2024年8月 | 193,179 |
時期 | 純資産(百万円) |
---|---|
2023年2月 | 34,443 |
2024年2月 | 39,371 |
2025年2月 | 43,989 |
順調に増えていることが分かりますね。

純資産についても、私の場合は以下のような基準で3段階評価しています。
観点 | 評価結果 |
---|---|
過去3年間で、純資産が概ね上がり続けている | 良好(○) |
過去3年間で、純資産が下がり続けている | 注意(△) |
過去3年間のうち、純資産がマイナス(債務超過)の年がある | 不良(×) |
営業CFがプラスである
企業の稼ぐ力を評価する際は、営業CF(= 営業キャッシュフロー)に着目することが重要です。
なぜなら、営業CFがマイナスの場合、現金不足に陥っていることを意味するためです。
営業CFがマイナスの場合、経営が不安定になっていると考えられます。

先ほど取り上げた銘柄の直近3年間の営業CFは、以下のようになっています。
時期 | 営業CF(百万円) |
---|---|
2022年8月 | 25,317 |
2023年8月 | 10,078 |
2024年8月 | 41,994 |
時期 | 営業CF(百万円) |
---|---|
2023年2月 | 24,593 |
2024年2月 | 23,292 |
2025年2月 | 25,991 |
事業により現金が生み出せていることが確認できますね。

営業CFについても、私の場合は以下のような基準で3段階評価しています。
観点 | 評価結果 |
---|---|
過去3年間で、営業CFがすべてプラスである | 良好(○) |
過去3年間のうち、いずれか1年間で営業CFがマイナスである | 注意(△) |
過去3年間のうち、2年以上営業CFがマイナスである | 不良(×) |
投資CFがマイナスである
最後に、将来の事業拡大などに影響する投資CFも確認しておきましょう。
この指標を確認する理由として、投資CFがマイナスの場合、事業拡大の投資活動などで手元の現金が減っていることになるためです。
逆に投資CFがプラスの場合は、設備売却等により事業を縮小している可能性があります。

先ほど取り上げた銘柄の直近3年間の投資CFは、以下のようになっています。
時期 | 投資CF(百万円) |
---|---|
2022年8月 | -18,076 |
2023年8月 | -11,118 |
2024年8月 | -30,073 |
時期 | 投資CF(百万円) |
---|---|
2023年2月 | -2,311 |
2024年2月 | -3,601 |
2025年2月 | -9,199 |
継続して投資活動を進めていることが分かりますね。

投資CFについても、私の場合は以下のような基準で3段階評価しています。
観点 | 評価結果 |
---|---|
過去3年間で、投資CFがすべてマイナスである | 良好(○) |
過去3年間のうち、少なくとも1年間で投資CFがプラスである | 注意(△) |
過去3年間のうち、すべての年で投資CFがプラスである | 不良(×) |
株主優待を購入する際の注意点3つ
ここまでで、優待株投資時の銘柄選定の方法が、ある程度理解できたと思います。
後は、銘柄を決めて購入するだけですが、その際の注意点も紹介しておきます。
株主優待を購入する際の注意点3つ
権利付き最終日付近での購入は避ける
優待株の最適な購入タイミングは誰にも分かりませんが、少なくとも、権利付き最終日付近では購入を避けた方が良いです。
なぜなら、株主優待や配当を狙って株式を購入する人が増え、高値掴みする可能性があるためです。
実際、先ほど取り上げた銘柄の2025年8月頃の株価推移は、以下のようになっています。


このように、権利付き最終日に向かって概ね株価が上昇しており、権利付き最終日以降で株価が下落しています。
高値掴みを避けるためにも、あらかじめ購入する株式を決めておき、早いタイミングで株を購入するようにしましょう。
私は、権利付き最終日の2か月~3か月位前に、株価を見ながら購入することが多いです。

短期売買を目的としない
新NISA口座を活用するという理由もありますが、基本的に優待株を短期売買することはオススメしません。
なぜなら、大きな利益を期待しづらい上に、本来の投資の目的から外れる可能性があるためです。
基本的に、事業成長している企業であれば、長期的にみて株価は上昇する傾向があります。


このように、企業成長の恩恵を優待品や配当で受け取ることが、優待株投資の投資スタイルとなります。
このため、キャピタルゲイン狙いの売買は、避ける方が良いでしょう。
税制優遇の面でも、新NISA口座で長期投資を行うことをオススメします。

利回りが異常に高い銘柄は避ける
総合利回りが4%以上のものが良いと説明しましたが、利回りが異常に高い銘柄も避けた方が良いです。
なぜなら、余力が無い状態で無理やり優待や配当を配っている可能性があるためです。
実際、株式会社REVOLUTIONは、2024年10月23日に株主優待を新設しました。

しかしながら、一度も株主優待を実施せず、2025年3月11日に株主優待を廃止しています。

株式会社REVOLUTIONの2025年3月11日時点の株価は195円だったため、株主優待12万円分(年2回)を受け取った場合の利回りは、驚異の約30%でした。
このように、利回りだけにつられて優待株投資を始めてしまうと、思わぬリスクが発生する可能性があります。
上記に示した着眼点をもとに、企業分析した上で投資しましょう。
色々と調べつつ銘柄選定することで、楽しみながら優待株投資に取り組むことができますよ。

新NISAでオススメの株主優待銘柄5つ
最後に、新NISAでオススメの株主優待銘柄を紹介します。
新NISAでオススメの株主優待銘柄5つ
クリエイト・レストランツHD(3387)

まずは、先ほども取り上げた「クリエイト・レストランツHD」を紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
株価 | 795円(2025年8月末時点) |
配当金 | 1株4.5円(2025年8月末時点の予想) |
優待回数 | 年2回 |
優待の権利確定月 | 2月、8月 |
優待内容 | 優待食事割引券(100株 年間3,000円相当) |
配当利回り | 0.56% |
優待利回り | 3.77% |
総合利回り | 4.33% |
最低投資額 | 79,500円 |
クリエイト・レストランツHDは人気のある飲食系優待の一つで、数多くのグループ店舗で利用できます。

この企業は2025年8月31日を基準日として、株式分割(1株→2株)が実施されます。

10万円以内で購入できるため、初心者にもオススメです。
ビックカメラ(3048)

ビックカメラも、先ほど取り上げた銘柄となります。
項目 | 内容 |
---|---|
株価 | 1,585.5円(2025年8月末時点) |
配当金 | 1株40円(2025年8月末時点の予想) |
優待回数 | 年2回 |
優待の権利確定月 | 2月、8月 |
優待内容 | 優待買物割引券(100株 年間3,000円相当) |
配当利回り | 2.52% |
優待利回り | 1.89% |
総合利回り | 4.41% |
最低投資額 | 158,550円 |
ビックカメラは大手家電量販店で、全国各地の実店舗に加え、ネット店舗でも優待券が利用できます。

今回は紹介していませんが、コジマの優待券もあわせて利用可能です。

10万円を越えるので資金が必要になりますが、家電等を良く購入する方にはオススメの優待となります。
ソフトバンク(9434)
携帯電話の通信網(インフラ)やインターネット回線サービスで有名な銘柄の優待となります。
項目 | 内容 |
---|---|
株価 | 228.2円(2025年8月末時点) |
配当金 | 1株8.6円(2025年8月末時点の予想) |
優待回数 | 年1回(年2回ある権利確定月の早い方) |
優待の権利確定月 | 3月、9月(どちらか一方) |
優待内容 | PayPayマネーライト(100株 1,000円相当、1年以上保有が条件) |
配当利回り | 3.76% |
優待利回り | 4.38% |
総合利回り | 8.14% |
最低投資額 | 22,820円 |
ソフトバンクは、電子決済サービス(キャッシュレス決済サービス)として、PayPayを導入しています。
このPayPayで利用可能な残高1,000円相当を、優待として受け取ることが可能です。

また、優待開始が2025年かつ1年以上保有が条件となるため、最短で2026年3月末に権利確定します。

優待の権利確定月は年2回ですが、優待が貰えるのは年間1回のみとなる点に注意が必要です。

2万円代で株主になれるため、初めて優待株投資を行う際の候補になる銘柄と言えます。
ヤマダHD(9831)

ヤマダHDは、家庭電化製品を販売する会社となります。
項目 | 内容 |
---|---|
株価 | 464.6円(2025年8月末時点) |
配当金 | 1株17円(2025年8月末時点の予想) |
優待回数 | 年2回 |
優待の権利確定月 | 3月、9月 |
優待内容 | 優待買物割引券(100株 年間1,500円相当) |
配当利回り | 3.65% |
優待利回り | 3.32% |
総合利回り | 6.87% |
最低投資額 | 46,460円 |
ヤマダHDの優待券は、税込合計金額1,000円以上につき、1,000円ごとに優待券を1枚(500円)利用可能です。

買い物時の価格が、1,000円ごとに半額になりますね。

5万円以内で株主になれるため、初心者でも手が届きやすい銘柄ですね。
シークス(7613)
最後に、電子部品や電子機器の輸出入・販売を行う会社である、シークスを紹介します。
BtoB企業のため、初めて聞く方が多いと思います。

項目 | 内容 |
---|---|
株価 | 1,308円(2025年8月末時点) |
配当金 | 1株48円(2025年8月末時点の予想) |
優待回数 | 年1回 |
優待の権利確定月 | 12月 |
優待内容 | ギフトカード(100株 年間1,000円相当) |
配当利回り | 3.66% |
優待利回り | 0.76% |
総合利回り | 4.42% |
最低投資額 | 130,800円 |
EMS(電子機器受託製造サービス)事業を展開しており、EMS業界では日本最大級、世界ランキング17位となっています。


10万円を越えるため初心者向けではないかもしれませんが、様々な用途があるギフトカードが貰える点が魅力的です。
優待を貰いながら楽しく投資をしよう!
今回は、以下の内容について解説しました。
優待株投資は、企業から優待品を貰うことで楽しみながら投資できる日本独自の制度です。
優待株投資に興味があるけど銘柄の選び方やオススメの銘柄が分からなかった方は、ぜひ今回の記事を参考に投資を始めてみてください。
個別株投資にはリスクが伴うので、購入後に元本割れする可能性がある点に注意が必要です。

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