今回は、S&P500を題材にスポット購入のタイミングや失敗を避けるためのポイントについて解説します。
私も、スポット購入時のポイントを整理した上で実践することで、含み益を得られています。

記事の前半ではスポット購入の定義とメリット・デメリットを、後半ではスポット購入のタイミングの見極めが難しい理由と失敗を避けるためのポイントを具体的に解説します。

この記事を書いた人
- 『NISAの達人』の管理人
- 会社員&ブロガー
- 新NISA(選び方、買い方、運用方法、ノウハウ)について発信
- 2025年2月時点で、NISAで含み益約77万円を達成中!


この記事を読み終えることで、スポット購入のタイミングの見極めが難しいことが理解できるだけではなく、失敗を避けるための考え方も身についた状態になりますよ。
これから資産運用を始める方
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新NISにおけるスポット購入とは?
Money Forwrdでは、スポット購入を以下のように説明しています。
スポット購入とは、投資信託を一括で購入する方法のことです。
出典:Money Forwrd
上記に基づいて、今回のトピックとなる「スポット購入」と「通常の積立投資(定期購入)」の違いを図示すると、以下のようになります。

スポット購入は、相場に合わせて流動的に購入するイメージです。

S&P500スポット購入によるメリット2つ
S&P500に連動する投資信託をスポット購入するメリットについて、解説します。
S&P500スポット購入によるメリット2つ
短期間でリターンが期待できる
投資信託など金融商品に投資する場合、安い時に購入し、高い時に売却することで、より多くの利益を得ることができます。
さらに、2025年に起きた米国トランプ大統領の関税ショックなど、直近の値動きがある程度予測できる場合に有効です。
多くの場合において、価格変動を予測するのは簡単ではないため、注意が必要です。

例えば、先ほどの例の場合、下記のように値下がりしたタイミングで購入し、値上がりしたタイミングで売却できれば、その差分を利益として得られます。

新NISでの投資は長期投資が前提になるため、短期売買はせずに購入後15年以上は持ち続けた方が良いでしょう。

複利効果を活かせる
通常、S&P500に連動する投資信託は、投資により得られた利益を再投資する仕組みとなっています。
このため、現金のまま置いておくよりも、安い時にスポット購入して運用していくことで、その分複利効果の恩恵を受けることができます。
例えば、下記のように、5ヶ月の間、毎月1万円ずつ積み立てる場合と、2ヶ月目で5万円分スポット購入する場合を比較してみましょう。

この場合、スポット購入時は3ヶ月目以降から、複利効果の恩恵を受けられるようになります。
定期購入の場合、5ヶ月目になって初めて全額投資した状態になりますね。

このように、現金のまま眠らせている期間を短くできるため、その分、投資による複利効果が期待できます。
S&P500スポット購入によるデメリット2つ
一方、S&P500スポット購入によるデメリットも存在します。
S&P500スポット購入によるデメリット2つ
購入タイミングの見極めが難しい
最大の問題として、購入タイミングの見極めが難しいことが挙げられます。
なぜなら、将来の株価がどの様に推移するかは、誰にも分からないためです。
根拠なく予想された株価情報(特にネット上での情報)は、鵜呑みにしない方が良いでしょう。

先程の例を流用すると、以下のような状況でスポット購入の要否を判断する必要があります。

このように、将来の株価が分からない状態で、購入タイミングの見極めが必要になるというデメリットがあります。
大きな損失が生じる可能性がある
購入タイミングの難しさと関連して、スポット購入に伴って大きな損失が生じる可能性があります。
なぜなら、スポット購入後に更に株価が下落する可能性もあるためです。
具体的には、下記のように、スポット購入後に株価が下落した場合、含み損を抱えた状態になります。

値上がりを期待して追加投資した結果、上記のようになると心理的に辛くなりますね。

長期間損失を抱える可能性もあるため、リターンも期待できる分、リスクがあることも把握しておくことが重要です。
S&P500スポット購入のタイミング見極めポイント3つ
S&P500スポット購入のメリット・デメリットが把握できたと思います。
以降では、S&P500スポット購入タイミングを見極めるポイントについて解説します。
S&P500スポット購入のタイミング見極めポイント3つ
下落相場時
下落相場は絶好のスポット購入タイミングとなります。
S&P500やオルカンのように、長期的にみて右肩上がりの金融商品が前提です。

なぜなら、「安い時に購入し、高くなったら売却する」という投資のセオリーに基づくタイミングとなるためです。
一方、下落相場かどうかの判断は難しいですが、一般的に以下のような出来事が起きた時は下落相場とみなせます。
下落相場の例3つ
- 大規模な自然災害
東日本大震災、コロナショックなど - 世界的な金融危機
ITバブル崩壊、リーマンショックなど - 地政学的リスク
紛争やテロ、大規模なサイバー攻撃など
上記のような出来事が起こると、市場全体で不安感が増し、株価は大きく下落します。
短期的には先行きが懸念されますが、長期的にみると割安で株式を購入できるタイミングとなります。
金融政策の変更時
中央銀行の金利上昇や政府による増税などが行われた時も、購入タイミングの候補になり得ます。
なぜなら、金利上昇や増税が、企業の借入コスト増加や利益減少につながり、株価が下落するからです。
2025年時点では、金利上昇が話題になっているので、この点を例に挙げて図解すると以下のようになります。

このように、株価変動と関連する指標を活用することで、投資タイミングを見極められる可能性があります。
相場局面サイクルの変化時
株式相場には、4つの相場局面サイクルがあると言われおり、それぞれの意味は以下に示す通りです。
4つの相場局面サイクル
さらに、株価は各相場局面に先行して動く指標となるため、逆金融相場と逆業績相場が切り替わるあたりでスポット購入を行うことになります。

このように、相場のサイクルを参考に購入タイミングを決める方法もあります。
相場サイクルに沿わないケースもあるため、あくまで参考情報として扱ってください。

S&P500スポット購入で失敗を避けるためのポイント3つ
続いて、S&P500スポット購入で失敗を避けるためのポイントを紹介します。
S&P500スポット購入で失敗を避けるためのポイント3つ
リスク許容度の範囲内で投資する
まず第一に、ご自身のリスク許容度の範囲内で投資をしましょう。
なぜなら、リスク許容度を越えてしまうと、狼狽売りなどで損失が拡大する可能性があるためです。
例えば、下記に示す1枚目のチャートに対し、2枚目の評価額のような結果が得られとします。


この2枚目の画像から、青線と赤線のどちらであれば投資を続けられるかを判断してみてください。
青線の変動量に耐えられるのであれば、リスク許容度が高いため、積極的な投資を行っても問題ない可能性が高いです。
実際に少額投資をして検証するのも良いでしょう。

このように、シミュレーションや少額投資により、ご自身のリスク許容度を把握することが大切になります。
生活資金や直近で必要な資金で投資しない
次に、生活に必要な資金や近い将来(3年~5年)に利用予定の資金を元手に、投資するのは避けましょう。
なぜなら、実際にお金が必要になった時に、すぐにお金を用意ができない可能性があるためです。
上記用途の資金は、現金で保有しておくべきです。

具体的には、以下の資金を確保しておくことをオススメします。
投資に回さない方が良い資金の例3つ
- 普段使うお金(日常生活費)
約1.5ヶ月分の資金を現金で保有しておく - 病気やケガなど万一の時に使うお金(生活防衛資金)
会社員は約3か月~6ヶ月分、フリーランスは約1年分の資金を現金で保有しておく。 - 結婚費用や教育費などの節目で使うお金(ライフイベント準備金)
結婚費用は約300万円、教育費は大学分だけで約500万円を見込んでおく。
ライフイベントにかかる費用(出典:ウェルスナビ)
上記費用は、個人の状況に依存するので、当てはまるものを対象に人生設計をすることになります。
期間や購入回数を分ける
最後に、スポット購入をすると決めた際は、一度に資金を投入するのではなく、複数回に分けて投入することをオススメします。
なぜなら、複数回に分けることで(短期間ですが)時間分散による効果が期待できるためです。
具体的には、50万円を元手にスポット購入する場合、「1度に50万円分購入するのではなく、1週間ごとに3~4回に分けて購入する」というスタイルを取ります。

こうすることで、スポット購入でも時間的な分散効果が期待できます。
唯一、右肩上がりの相場の場合は裏目に出るため、注意が必要です。

【初心者向け】投資スタイル3パターン
ここまでで解説したことを踏まえ、初心者向けの投資スタイルを紹介したいと思います。
【初心者向け】投資スタイル3パターン
積立投資が向いている人
以下に当てはまる場合は、積立投資でコツコツ資産形成していくことをオススメします。
積立投資が向いている人の特徴3つ
- 投資する際にまとまった資金がない方
- 価格変動や損失に敏感な方(リスク許容度が低い方)
- 投資に時間を割けない方
投資は種銭(入金力)が必要になるため、余剰資金が少ないうちはコツコツと続けていくことが重要です。
20年以上かかるので、気楽に取り組むのが良いでしょう。

一括投資が向いている人
以下に当てはまる場合は、一括投資を行い、早い段階で資産形成の目標を達成させることをオススメします。
一括投資が向いている人の特徴3つ
- まとまった資金があり、積極的に運用したい方
- 短期間で大きなリターンを得たい方(リスクを取りたい方)
- 銘柄選定や購入時期の分析など、投資に時間をかけたい方
また、積立投資と一括投資のどちらを選ぶと良いかは、以前の記事でまとめています。是非ご参加ください。
スポット購入が向いている人
以下に当てはまる場合は、積立投資とスポット購入を併用して、資産形成を行うことをオススメします。
スポット購入が向いている人の特徴3つ
- 積立投資をした上で、余剰資金がある方
- 下落相場でも冷静に判断できる方(リスク許容度が高い方)
- 追加投資タイミングなど、ご自身で投資時のルールを決めている方
スポット購入は積立投資と併用されることが多く、ハイブリッドな投資スタイルになります。
また、少額から試すこともできるので、余剰資金のうち積立額の1割~2割(例:1万円程度)を用意して、スポット購入しても良いでしょう。
少額から始められる投資信託のメリットを最大限活用できますね。

【実体験】スポット購入の事例
S&P500の例ではないですが、以前、私がスポット購入した際の例をご紹介いたします。
実際にスポット購入した実績は、以下に示す通りです。

この時は、以下のような考え方で、余剰資金24万円を7回に分けて投資しました。
スポット購入時の考え方(2022年当時)
- 事実整理
米中貿易摩擦(2018年頃)は株価が上昇しづらかったが、NASDAQ系のIT銘柄は安定的に成長していた。
その後、コロナによりお金のバラマキが起こり、世界的な株高になった。 - 要因(当時の予想)
NASDAQ系に含まれるIT企業は、生活インフラに組み込まれているため影響を受けづらい。 - 今後の動き(当時の予想)
コロナ後のインフレ抑制のために利上げが行われ、株価が下落する可能性がある。
その一方で、NASDAQ系であれば、2018年の時と同様に、あまり影響を受けずに成長を続ける可能性がある。 - 銘柄選定と投資時期
指数の上位企業に投資すればリターンが期待できるため、NASDAQ100インデックスに連動する投資信託を購入する。
相場変動は読めないため、決め打ちで毎週4万円ずつ、1か月かけて購入する。また、端数分は様子を見て運用する。
上記を踏まえて、当時「eMAXIS NASDAQ100インデックス」に投資しました。
新NISAが始まる前だったので、特定口座で運用しています。

また、2025年8月末時点の投資実績は、以下に示す通りです。

他と比較して信託報酬が高めなので、今後どうするかは別途考える予定です。

スポット購入のタイミングを逃さないための準備事項3つ
最後に、スポット購入のために現時点でできることを紹介します。
スポット購入のタイミングを逃さないための準備事項3つ
新NISの投資可能枠の確認
まずは、新NISAの投資可能枠を確認しましょう。
楽天証券の場合、新NISAのトップページにて投資可能枠を確認することができます。

スポット購入をする場合は、成長投資枠部分を確認してください。

また、それ以前に、証券口座を開いていない場合は、下記から口座開設を行ってください。
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投資資金の確保
次に、投資資金を確保しましょう。
例えば、スマホ代やサブスク代、保険料などの固定費を見直すことで、資金的な余裕を確保できます。

無理のない範囲で実施することをオススメします。

スポット購入時のルール定義
最後に、スポット購入時のルールを決めておきましょう。
なぜなら、心理的な要素を排除して投資要否を判断するためです。
例えば、以下のようなルールの決め方が考えられます。
スポット購入時のルールの例3つ
- 基準価額が、前日比の5%以上下落した
- 基準価額が、直近のピークから10%以上下落した場合
- 中央銀行から金利上昇の政策が提示された場合
自分なりに目標を設定した上で、スポット購入することをオススメします。

スポット購入を上手く活用して、資産形成を加速させよう!
今回は、以下の内容について解説しました
今回の内容
特に、スポット購入時のルールを事前に決めておくことで、以下のことが期待できます。
スポット購入時のルールを事前に決める理由2つ
- 納得感のある投資ができる
ご自身の考え方に基づいて、追加投資の善し悪しを判断した実績が残るため。 - 判断の善し悪しを評価できる
利益が出た場合は、同じルールで判断すれば良いため。
損失が出た場合は、考慮できていなかった観点を追加して再挑戦すれば良いため。
スポット購入のタイミングを見極めるのは簡単ではないため、上記の捉え方が重要になってきますよ。

余力がある方は、スポット購入を活用して効率良く資産形成を進めていきましょう。
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